「歳寒図」(藤塚力による模本)
秋史金正喜 – 歳寒図と書法精神
今皆さんの前にある作品は、朝鮮後期最高の文人兼書法家である秋史金正喜の代表作です。
まず《歳寒図》を見てください。荒涼とした冬景色に松二本と簡素な家。装飾も色彩もありませんが、深い物語が隠されています。
「歳寒」は『論語』の「歳寒然后知松柏之後凋也」から取った題名です。寒冬になってこそ松柏が枯れないことを知るという意味です
。
1844年、秋史は済州島に流配されていました。弟子の李相適が遠路書籍を送ってきた時、師を忘れないその心に感動して描いたのがこの《歳寒図》です。
絵の松は弟子の変わらぬ心を、家は孤独中の堅固な精神を象徴します。これは「精神の肖像画」です。
隣の書法《但硯竹炉詩屋》は「硯台と竹炉、詩の家があれば足りる」という意味で、士大夫の精神的理想を表します。
秋史の字体を見てください。整っておらず、時には荒々しい。これが「秋史体」の特徴です。当時多くの書法家が中国字体を模倣していた時、秋史は伝統を学びつつ独創的道を開きました。
秋史は「古を学んで古に泥まず」と言いました。伝統を尊重しながら自分の声を見つけるという意味です。
彼の芸術が特別なのは生活と芸術が一体だったからです。流配の苦痛、学問への情熱、弟子への愛—すべてが筆先に溶け込んで生きた芸術となりました。
今日この作品を見て考えてください。寒冬のような困難な時期に変わらないものは何か、私たちは誰かにとって頼れる松のような存在になっているかを。